我無ちゃんねる 〜ニュースなび〜

「森友問題で窮地に立たされた安倍首相ですが、四月には、外交でも正念場を迎えます。米国から一方的に鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をされてこのまま引き下がるわけにはいかない。中旬に予定されている日米首脳会談では、何としても『適用除外』をお土産として持ち帰りたいはずです」（政治部デスク）
　頼みのトランプにまで突き放され、“外交の安倍”も大ピンチだ。

　ドナルド・トランプ大統領との親密さは、各国首脳随一と言われ、安倍晋三首相自身も「日米同盟史上、最も良好な関係にある」と胸を張ってきた。
　ある官邸関係者も二人の親密さをこう打ち明ける。
「実は、トランプから安倍さんに電話がかかってくることはよくあります。たいていトランプが某国の首脳に対する不満などを一方的にまくし立てるのですが、安倍さんはそんな愚痴を聞いてあげながら、時にアドバイスもする。先進国首脳でトランプが心を許しているのは安倍さんだけです」
　二人の関係については、欧米メディアも「ブロマンス（Bromance＝男同士の親密さを指す）」「ゴルフメイト」等と揶揄してその蜜月ぶりを報じてきた。
　そんな相思相愛だったはずの二人なのに、トランプ大統領は安倍首相を「グレート・ガイ（いいヤツ）」と評しながらこう批判した。
「安倍晋三首相たちには言っておきたい。彼らはいつもほほ笑んでいる。その微笑みは『こんなに長い間、米国を出しぬくことができたとは信じられない』という意味だ。でも、そうした時代はもう終わりだ！」（二十二日、制裁措置を命じる大統領令の署名式で）
翌二十三日に発動された新たな高関税措置では、日本は主要同盟国の中で唯一、適用除外にならなかった。
「カナダ、メキシコといったNAFTA（北米自由貿易協定）加盟国だけでなく、欧州連合（EU）や韓国まで除外国となったのに、日本が除外にならなかったのは痛かった。楽観的だった世耕弘成経済産業大臣も、ショックを隠せない様子でした」（政治部記者）
　今回、世耕大臣のカウンターパートとなったロバート・ライトハイザー通商代表は、その世界では古くから手ごわい人物として知られている。
「レーガン政権時代に通商代表部の次席代表を務め、すでにあの時代から対日強硬策をリードしていました。当時、日本側の提案書類を紙飛行機にして投げ返したというエピソードもあるほど。日本に対しては、上から一発かませば、グラグラすることを熟知している人物なのです」（ジャーナリスト・歳川隆雄氏）
　これに加え、ティラーソン国務長官が抜けた後のトランプ側近もウィルバー・ロス商務長官、ピーター・ナバロ通商顧問ら対日強硬派で固められている。
「ロスとナバロの二人は、トランプの大統領当選時に『トランプの厳しい交渉力をもってすれば、貿易の不均衡を改善できる』とレポートに書いて提出しています。今回の措置も元々は彼らのアイデアです」（国際ジャーナリスト・山田敏弘氏）
　一方、北朝鮮問題でも日本は完全に蚊帳の外に置かれている。
「四〜五月に南北会談、米朝会談が相次いで決まったのは予想外の展開でした。慌てた日本政府は複数の外交チャンネルを使い、独自に金正恩との首脳会談を模索しています。米国は、ICBM（大陸間弾道弾）さえ排除できればいいというのが本音。日本にとって重要な短・中距離ミサイルや拉致の問題が置き去りにされかねないと焦っているのです」（北朝鮮ウォッチャー）
　緊密なはずの日米同盟に、亀裂が入ったようにみえる。はたしてトランプの思惑は何なのか。
　米国の経済政策に詳しい神谷秀樹氏が語る。
「トランプの目的は、貿易赤字解消のために日本を二国間のFTA（自由貿易協定）交渉に引きずり込むことと、大量の武器を買わせることです。
　今度の首脳会談で安倍首相が親密な関係に期待しているとしたら、再びハシゴを外されるでしょう」
　かつて「交渉相手には、アイツは本気でイカれていると思わせろ！　そうすれば交渉は有利に進められる」と独自の交渉哲学を披露していたトランプ。
「いいヤツ」では、足元を見られるばかりだ。
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