我無ちゃんねる 〜ニュースなび〜

中古市場で高値で取引される最新型のiPhoneをめぐる問題。

未開封の新品として10万円で買い取ったら、中身はなんと「おもり」だった。

不正が起きた買い取り現場を取材すると見えてきたのは最新機種iPhone13から始まったゴミ削減の取り組みを逆手にとった新たな手口だった。

■新品のiPhone13と思いきや・・・

これは、あるスマートフォン買取店の防犯カメラ映像。この映像に問題の一部始終が記録されている。

店員
「いらっしゃいませ」

男性
「予約とかしてないんですけど、大丈夫ですか?買取というか。査定をしてもらいたくて」

店員
「初期化とかされていますか?」

男性
「新品なんですよ」

男性が持ち込んだのは、最新機種、iPhone13の新品、しかも、未開封品のハズだった・・・。しかし箱を開けると本来、iPhoneが入ってるはずの場所に、黒い物体が敷き詰められている。

一体何があったのか?黒い物体の正体はテープ状のマグネットだ。これをおもりとして使っていた。

量るとiPhone13とほぼ同じ重さに調整されている。

店は、このマグネットテープが入った空箱を10万円で買い取ってしまったのだ。

■「未開封品」と「プラごみ削減」に潜む“罠”

なぜ、店は騙されてしまったのか。ポイントは持ち込まれたのが「未開封品」、つまり封が切られていない新品とされたことだ。

モバイアス横浜店下村拓也マネージャー
「開封してしまうとどうしても価値が下がってしまうので、そこで気づけなかったというのが一番大きな理由にある」

同じ新品でも、未開封の新品は特別高く売買される。そのため、開封して中身を確認することができないのだ。加えて、最新機種iPhone13特有の事情もあるという。

モバイアス横浜店下村拓也マネージャー
「（iPhone12よりも）前の機種っていうのはこういう透明のラッピングなんですね。これ一回はがしてしまうと、同じような状態に持っていくのが難しいくらいのクオリティなので、（未開封を偽装するのは）難しいのではないかと思います」

以前の機種はプラスチックフィルムで全体が包装されていたが、iPhone13からプラスチックごみ削減のため包装はなくなった。

未開封がどうかは、このシールによって見分ける。

シールのこの部分を引きはがすと箱を開けることができるのだ。ところが‥。

■「あの開けたての感動をもう一度」

インターネット上のオークションサイトに『未開封シール』と検索するとシールのみが出品されている。

なぜ、シールのみが売られているのか。商品の説明欄には『あの開けたての感動をもう一度味わいたい、などでお使いください』との文字が並ぶ。つまり、このシールを貼ると未開封品にみせることができてしまうのだ。店に持ち込まれた偽のiPhoneもこうしたシールが貼られていた。

持ち込んだ人物にも不審な点はなかったという。

モバイアス横浜店下村拓也マネージャー
「なんて言うんでしょう、他のお客様と変わらずっていうところで不審な行動はなかったですね」

店は買取の3日後、別の業者に転売しようとしたところ、箱に貼られた紙の印字が粗いなどの不審点を指摘されて初めて箱を開封したという。

偽の未開封品を持ち込んだ男性。中身が重りだと知りながら、10万円を手にしたのだろうか。男性は店に住所や電話番号を残していた。自宅とされる住所を訪ねたが、その男性は住んでいなかった。

携帯電話にかけてみるも繋がらない。嘘の連絡先男性の行方を突き止めることはできなかった。

モバイアス横浜店下村拓也マネージャー
「ご自身でそういったの（未開封シール）を加工されて、やられてしまったという経緯があるので、初めてのケースで驚いてはいるんですけど、そういう手口があるみたいです」

店は今回の被害を受けて箱を開けなくても中身を確認できるX線検査を導入し、不正がわかれば警察に通報する方針だ。